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2009香港国際競走特集

名馬列伝

サイレントウィットネス(精英大師)
17連勝を無敗のまま達成する金字塔を打ちたてた香港のスーパーホース
香港のサイレントウィットネス(漢字表記で精英大師)といえば、さしずめ日本のオグリキャップに匹敵するだろう。エリートの生まれではなく、特異のキャラクターと圧倒的な強さでファンの心を捉え、その存在は競馬の枠を超えて社会現象と化した。アメリカから見ると、サイレントウィットネスはそうではなく、シービスケットに似ているという。大恐慌時代に忽然と現れ、魂を揺さぶるレースをして大衆の希望の星となったシービスケットにそっくりである、と。「サイレントウィットネスは新型肝炎(SARS)に揺れ、政治的緊張と経済的混迷の最中にあった2003年の香港で、人々にプライドを取り戻させ、なせば成る精神を回復させた」と、米紙「タイム」(2007年2月8日号)にある。


サイレントウィットネス
1999年10月1日生 父:エルモキシー 母: ジェイドティアラ 母の父:ビューラクラシー
通算成績 29戦18勝
香港を代表する名スプリンター
 
 サイレントウィットネスは、1999年10月1日生まれのオーストラリア産。香港の実業家、A.ダシルバ氏の所有馬として、A.クルーズ厩舎に所属し、香港での生涯29戦すべて南ア出身のF.コーツィーが騎乗した。
 サイレントウィットネスはアメリカ血統とオセアニア血統の配合の妙が造り上げた歴史的名馬といえるだろう。父のエルモキシーは北米で19戦6勝したにとどまるが、その父のコンスタドールシエロ(ベルモントS勝ち馬)を経て大種牡馬ミスタープロスペクターへとさかのぼる。母のジェイドティアラはオーストラリアで12戦4勝。祖母のジェイドアマンダはオーストラリアで18戦1勝。
 近親にこれといった活躍馬はいない。母の父は豪G1馬のビューロクラシー。サイレントウィットネスは父方を通してネイティヴダンサー4×5のインブリードを持つが、父方×母方では6代前まで共通の祖先のないアウトブリードになっている。それが雑草のようなタフさと逞しさの源泉となったのだろう。
 サイレントウィットネスは、このような血統のため、1歳時のせり市で3万9000ドルの控え目な価格で取り引きされた。その後、去勢されてせん馬となり、Eltiraの名前でオーストラリアで馬名登録されたが、一度も走ることなく香港へ移籍し、A.ダシルバ氏によってサイレントウィットネスと改名された。
 サイレントウィットネスは3歳になってほどなく、2002年12月26日のヘネシーH(シャティン競馬場、芝1000m)でデビューした。1番人気に推されたのは、馬っぷりの良さと調教の良さがあったからであろう。これを皮切りに、02/03年の3歳時は5戦5勝。
 続く03/04年の4歳時は6戦6勝。03年12月の香港スプリントで、その馬体を初めて見た僕は一驚も二驚も覚えた。馬体重なんと554キロの超巨漢。それでいて、ゴムまりのような弾力を感じさせ、肢もとの不安など微塵もない。肢が短かい典型的なスプリンター体型だ。一体、このようなものすごい馬を造り上げるのに、何を食べさせ、どのような調教をしたというのか。香港スプリントでは先行して抜け出し、圧勝。これが初のG1勝ちとなる。
 04/05年の5歳時を迎えても連勝は続く。香港スプリントを連覇し、13戦13勝としたときのスタンドの歓声は、香港競馬始まって以来と思わせるほどの凄まじさだった。05年4月3日のチェアマンズスプリントプライズ(香港限定G1)で16連勝とし、ついにリボーやシガーやサイテーションの持つ、20世紀以降の連勝記録に並んだ。
 さらにその直後の05年4月24日、初めて1200mを超える距離のクイーンズシルヴァージュビリーC(香港限定G2、芝1400m)で、ついに競馬主要国の最高レベルのレースに出走した馬として、20世紀以降初めてとなる17連勝を無敗のまま達成した。
 その後は距離との戦いとなる。続くチャンピオンズマイル(芝1600m)を2着と敗れ、連勝記録が途切れると、日本に遠征して出走した安田記念(芝1600m)で最後まで粘るガッツを見せたものの、アサクサデンエンの3着に敗れた。
 しかし、安田記念以来4ヶ月ぶりの休み明けで臨んだ05年のスプリンターズS(中山、芝1200m)で真価を発揮、堂々1番人気に応え、外の好位から抜け出して快勝、香港スーパーホースの底力を日本で見せつけた。
 その後、体調を崩し、6歳初戦のこのレースが最後の勝利となったのは残念でならない。あれだけ勝ちまくった香港のオグリキャップ、いやシービスケットも、その後9戦してついに勝つことはなかった。06年のスプリンターズSは4着だった。
 それでも全盛時代の輝きが色あせることは決してない。国際G1勝ちは香港スプリント2回とスプリンターズSの3勝だけでも、他に香港スプリント3冠のボーヒニアスプリントトロフィー、センテナリースプリントC、チェアマンズスプリントプライズを04、05年とすべて制し、香港限定G1を計6勝。さらに香港限定G2を4勝し、同G3の1勝を加えて、重賞勝ちは計14勝に及ぶ。
 香港年度代表馬には03/04、04/05年と2回選出された。この両年とも、スプリンター部門と、ファン投票による最高人気馬賞も受賞。日本のスプリンターズSを制した05/06年もベストスプリンターのタイトルだけは死守した。
 さらに強調すべきは、IFHA国際競馬統括機関連盟発表の世界ランキングで04/05、05/06年と2年続けて世界最強スプリンターと認定されたこと。最高レーティングは04/05年の123.このレーティングは05年のジャパンCを勝ったアルカセットと同じである。
 サイレントウィットネスは07年2月4日のセンテナリースプリントC9着を最後に引退した。通算29戦18勝。収得賞金6249万6396香港ドルは当時のレコード。今はオーストラリアのウッドランズヒストリックパーク(メルボルン郊外)の功労馬繋養所へ送られ、静かな余生を送っている
(石川ワタル)

サイレントウィットネス 全成績
年月日 開催場 レース名 距離 着順 騎手
2007/2/4 香港 センテナリーSC(G1) 芝1000 9 F.コーツィー
2007/1/1 香港 チャイニーズクラブチャレンジ(G3) 芝1400 7 F.コーツィー
2006/12/10 香港 香港スプリント(G1) 芝1200 2 F.コーツィー
2006/11/9 香港 インターナショナルS(G2) 芝1000 4 F.コーツィー
2006/10/1 中山 スプリンターズS(G1)  High(会員) | Low(無料) 芝1200 4 F.コーツィー
2006/5/7 香港 チャンピオンズマイル(G1) 芝1600 9 F.コーツィー
2006/4/15 香港 Qシルバージュビリー(G1) 芝1400 2 F.コーツィー
2006/3/26 香港 チェアマンズS(G1) 芝1200 3 F.コーツィー
2006/2/26 香港 センテナリーSC(G1) 芝1000 7 F.コーツィー
2005/10/2 中山 スプリンターズS(G1)  High(会員) | Low(無料) 芝1200 1 F.コーツィー
2005/6/5 東京 安田記念(G1)  High(会員) | Low(無料) 芝1600 3 F.コーツィー
2005/5/14 香港 チャンピオンズマイル(G1) 芝1600 2 F.コーツィー
2005/4/24 香港 Qシルバージュビリー(G2) 芝1400 1 F.コーツィー
2005/4/3 香港 チェアマンズS(G1) 芝1200 1 F.コーツィー
2005/2/27 香港 センテナリーSC(G1) 芝1000 1 F.コーツィー
2005/1/23 香港 ボヒニアスプリントT(G1) 芝1000 1 F.コーツィー
2004/12/12 香港 香港スプリント(G1) 芝1000 1 F.コーツィー
2004/11/21 香港 インターナショナルS(G2) 芝1000 1 F.コーツィー
2004/4/25 香港 チェアマンズS(G1) 芝1200 1 F.コーツィー
2004/3/13 香港 センテナリーSC(G1) 芝1000 1 F.コーツィー
2004/2/1 香港 ボヒニアスプリントT(G1) 芝1000 1 F.コーツィー
2003/12/14 香港 香港スプリント(G1) 芝1000 1 F.コーツィー
2003/11/22 香港 インターナショナルS(G2) 芝1000 1 F.コーツィー
2003/10/11 香港 シャティンスプリント(G3) 芝1000 1 F.コーツィー
2003/6/7 香港 シャティンヴァーズ(G2) 芝1000 1 F.コーツィー
2003/3/23 香港 サウンドプリントH 芝1200 1 F.コーツィー
2003/2/23 香港 ゲイエイティーズH 芝1000 1 F.コーツィー
2003/1/19 香港 マスターマインドH 芝1200 1 F.コーツィー
2002/12/26 香港 ヘネシーH 芝1000 1 F.コーツィー
通算成績 29戦18勝